キッズビレッジつくし保育園横浜市認可保育所_社会福祉法人つくし会

子ども主体の保育を実践し続ける
大人も子どももワクワク、秘密基地のような保育園

キッズビレッジつくし保育園は、相鉄線三ツ境駅徒歩約10分の閑静な住宅街の中にあります。一見するとログハウスのような、林間にキャンプにきたようなたたずまいの平屋の園舎。広大な敷地には、園のシンボルであるタワーがあります。2002年の開園当初から園長として園運営に尽力してきた大竹美智子園長先生にお話しを伺いました。

キッズビレッジつくし保育園

キッズビレッジつくし保育園の園舎について

訪れる誰もが冒険したくなる!園舎には工夫としかけがいっぱい。

幼児室は、子どもが自分で「やりたい!」を選択できるコーナー設定を大切にしている。
幼児室は、子どもが自分で「やりたい!」を選択できるコーナー設定を大切にしている。

「やりたい!」を大切に

私たちが何よりも大切にしていること、それは「子ども主体の保育」です。子どもの「やってみたい!」という気持ち、興味や関心に沿って、集中して遊びこめる環境構成に特に配慮しています。一人ひとりの個性を育みながら、自分の好きなことを見つけて楽しめるよう、成長発達に沿って保育を展開しています。

子どもの創造力や発想って、本当に無限大だと思うんです。毎日発見があって、「今日はこれに挑戦してみよう!」と思えるような環境があれば、子どもの中からその可能性がどんどん引き出されていきますよね。

特徴的な園舎の設計デザインは、環境デザイン研究所の仙田満先生にお願いしました。仙田先生が手掛けた保育園では第1号なんですよ。特に特徴的なのは、大きなホールを囲む2階の回廊です。ロープやアスレチック遊具を備えているほか、回廊に沿って連なるひとつひとつの小部屋はまるで秘密基地のような空間になっており、子どもたちのお気に入りの場所になっています。

2階をぐるりと囲む回廊。真ん中のホールを見下ろせる。
2階をぐるりと囲む回廊。真ん中のホールを見下ろせる。
大人気のネット遊具。自然に体幹が鍛えられ基本的生活習慣の基礎となっていく。
大人気のネット遊具。自然に体幹が鍛えられ基本的生活習慣の基礎となっていく。

1階の広いホールでは活動的な遊びや劇遊びなども楽しめます。落ち着いて過ごしたいときには絵本コーナーもあり、ランチの時間もここで過ごします。

各保育室は、発達に合わせた玩具や遊具はもちろん、制作や机上遊び、絵本などコーナーを設けています。自然の素材や廃材からも、新たな遊びが生まれていきます。

そしてどの部屋も天井が高いのでとても開放的です。定員は60名で0~5歳児の6クラスで編成していますが、特に幼児クラスでは、異年齢間の遊びや生活の機会が生まれるよう、部屋の間仕切りをできるだけなくして一緒に過ごす時間をたくさん設けています。乳児室は、一人ひとりが安心してくつろいで過ごせるように落ち着いた環境づくりに配慮しています。

木のぬくもりに包まれた乳児室。「食べる・寝る・遊ぶ」に配慮した環境設定。
木のぬくもりに包まれた乳児室。「食べる・寝る・遊ぶ」に配慮した環境設定。

そして園舎の中央部分には、園舎と外回廊に囲まれた園庭があります。小山や東屋、菜園、ビオトープなど四季折々の植物も楽しめる表情豊かなランドスケープがあります。旬の野菜が育つ畑もあり、カメも育てているんですよ。子どもたちは園の中で、さまざまな自然に触れることができます。

周辺環境にも恵まれており、公園もたくさんあります。園の隣の大きな公園では思い切りかけ回ったり、虫探しをしたり。子どもたちの希望聞きながら、毎日散歩の行先を決めています。姉妹園の幼稚園が近くにあり、夏は温水プールを借りて水遊びも楽しんでいます。

キッズビレッジつくし保育園の保育について

チーム保育と連携力で
子どものやりたい!をかなえる。

緑に囲まれた裏庭には、野菜畑が。職員と子どもたちで育てた旬の野菜は食育に。
緑に囲まれた裏庭には、野菜畑が。職員と子どもたちで育てた旬の野菜は食育に。

保育目標には「自分がすき・ひとがすき・たくましく主体的に遊べる子」を掲げています。自分が好きになるには、まず、お父さんお母さん、お家の人から好きになってもらうこと、愛されること、そして、いけない事はいけないと言ってもらえる子、そして、保育園でもあなたは素敵だよ、頑張っているね、ここはちょっと苦手だよねって、認めてあげられる子。そして、頑張りもみんなから、称えられる子。自分の弱みも知る子、喧嘩では相手の気持ちも考えるということを知る子。そうすると、“喧嘩”というものの意味や意義がわかるんです。遊びや生活の中で、安全性、危険性、人との関係性も学んでいく。そんなことをコンセプトにしています。

子どものやりたい気持ちをできるだけ止めない、叶えてあげられるように、環境構成や保育内容も工夫しています。一言でいうのはとても簡単なことですが、なかなか難しいことですよね。職員の連携やチーム力、臨機応変な対応力などがカギになってきます。

例えば、壁面や季節の制作なども、綺麗に飾ることが目標になってしまっては本末転倒です。綺麗に飾る事ではなく、子どもたちが主体的に、実体験ができることが大切です。梅雨だから、アジサイとカエルを貼りましょう。ではなくて、梅雨を感じるものを表現したものを、それぞれのもので表現して、それをみんなで見せ合う。素材を準備したり環境を整えたり、時には手順を援助するのが保育者の役割です。シンプルな素材でも、子どもの発想力や想像力の中から思いもかけないステキな作品が生まれていきますよね。

園庭に面したテラスにある雑貨店のような子ども部屋。
園庭に面したテラスにある雑貨店のような子ども部屋。

大人も子どもも笑顔になれる保育

障害を持つお子さんにとってもそれは同じです。一人ひとりの個性やその子にとっての落ち着ける環境や毎日のルーティンが大切。例えば、視覚や音、色などの刺激によって、落ち着いてくつろいで過ごせる環境が阻害されてしまうこともあります。保護者の協力も得て、その子にとって最善の環境は何かを考え、協力しながら保育を進めていきます。

そして園だけではなく、療育センターや旭区の子ども家庭支援課の担当の方たちと、チームを組んで支援していきます。地域の連携って本当に大事ですね。

子ども主体の保育をしていると、自然に大人も笑顔になります。大人も子どもも笑顔になれる保育。開園当初からずっとやってきていることですが、子ども主体の保育って、ほんとにいいなって最近改めて感じています。

キッズビレッジつくし保育園のカリキュラムについて

「子ども主体」とは、子どもが選択肢をもてること。

どの保育室も園庭に面している。広い園庭はアスレチックや砂場、小山など表情豊か。
どの保育室も園庭に面している。広い園庭はアスレチックや砂場、小山など表情豊か。

園ではスタート時からできるだけ少人数単位で「子ども主体の保育」を実現するために日々試行錯誤しています。

子どもが選択肢をもてること。具体的にどうするの?ということが重要だと思います。例えば水遊びや、泥んこ遊び、プール遊びの場面では、3,4,5歳児に「自分はどんな風に泳ぎたいか」「どういう風に遊びたいか」と聞きます。子どもが「スイスイバチャバチャ」と答えるとします。あまり水が得意ではない子どもたちは、最初は水に触れて遊ぶことからはじめ、一方で「自分はたくさん潜って、いっぱい泳ぎたい」という子どもたちは、一番泳げるチームを選べるようにします。

3歳から5歳児まで一緒に活動するというのは、最初はなかなか大変です。しかし、選べることにより、その子の興味や泳げる度合いによって、いっぱい泳ぎたい3歳の子が4歳児のグループに入ったり、水が苦手な5歳児の子が、緩やかな水遊びをしている4歳児のグループに入ったりすることができます。

自由とはなにかを考える


また「順序性」という視点も大切にしています。どういうことかというと、例えば工作で、3歳児が急にカッターを使わせるということはありません。まずハサミで紙を切ったりノリを使ったりするところから始まり、だんだん難しいことにも挑戦していく。そして「使ったものはちゃんと元の位置に戻す」「使う分だけ持っていく」といったような、ルールを守ることを知る。自由というのは自分勝手や放任ではありません。社会のルールを知って守った上に、自由がある。道具や素材を自由に選んで作る環境を整えながらも、社会の決まりや順序も学んでいく。それも考えながら整えることが、保育者の仕事ではないかと思っています。

キッズビレッジつくし保育園の行事について

何のため?誰のため? 行事も見直し進化の途中。

ハンドメイドのボードには、園の歴史がうかがい知れるステキな写真がいっぱい。
ハンドメイドのボードには、園の歴史がうかがい知れるステキな写真がいっぱい。

楽しい行事もたくさんやってきました。年2回のフェスティバルやお餅つき、運動会、お泊り保育……コロナ禍になり、行事が、なかなか難しくなってきたときに「何のための誰のための行事なのか?」ということを職員と一緒に考えました。

しかし今まで長年やってきたのもを急に変えるとなると、保護者に理解をしていただくことが必要です。お兄ちゃん、お姉ちゃんの代には、こんな行事があって楽しかったのに……というご意見もいただきました。急激に変えるのではなく、少しずつ規模や名称を変えたり、やり方を見直したりしながら、少しずつ変えていきました。コロナ禍での活動は大変ですが、行事の目的や意義を見直すきっかけにはなったかなと思います。

子ども主体の保育を進めるうえで、子どもたちがどんな体験をしたいか、その行事をどんなふうに自分のものにしたかという過程が一番大事だと思うのです。その目的を見失わないように、これからも楽しい行事をできる範囲で実施していきたいと思っています。

感染症対策のため、保護者の方が保育室に入ってこられないような状況も続いていますので、「ドキュメンテーション」を取り入れています。これは写真で毎日子どもの気づきや発見や楽しいことを発信していく方法です。日々の保育活動を保護者とビジュアルで共有することで、保護者にも共感してもらえるよう工夫を重ねています。いろいろなことを少しずつ見直し変えていく中で日々悩みも多いですが、それは良い意味での進化だと考えています。

行事って「保護者に見せるため」という一側面もあると思うんです。それは保育者側が、ということではなく、子どもがお父さんお母さんに見てもらいたいんです。先生だけじゃなくて、みんなに見てほしい。お父さんにもお母さんにも、本当は、おじいちゃん、おばあちゃんにも、自分が頑張った姿を見てもらいたい。それは子どもの素直な願いだと思うんです。その思いや願いを知っているからこそ、行事はできるだけ開いてあげたいって思うんですよね。

もちろん「何月何日にやるから、それまでに、劇遊びをここまで覚えて、ここまでに何とかしてできなきゃダメですよ」というのはあってはならないことですよね。「あなたはダメですよ」とてレッテルを貼られるようなことになってしまっては本末転倒。そうした保育は子どもにとって心地よい空間でも時間でもなければ、ましてや自己肯定感にはつながりません。

しかし大人になるまでには、苦しいことや嫌なことは避けては通れません。いろいろな経験をする中では、挫折をすることもあります。しかし子どもは子どもなりに葛藤し、それを乗り越えていきます。

先生から、「あなたはヒロインをやりなさい!できる子だから!」と言われて劇遊びに取り組んで「はい、上手にできました」という経験も、もちろん達成感はあるとは思います。 でもそれ以上に自分がやりたくてやった役だけど、思った通りにできなかった、うまくいかなかった、悔しかった……周囲の人から「いいんだよ、大丈夫だよ」って慰められて立ち直ることができた……そんな経験の積み重ねこそ、人として成長できる土台になっていくのではないでしょうか。

私たち保育者は微力ながらも、子どもが持つ「のびしろ」を育てていく。6歳までに育てるのは「出来上がった子」ではありません。そんな保育を目指しています。子ども主体の保育を始めた当初は保護者から「小学校になるのに、何もできていない子になってしまう」というご心配の声も聞かれました。でも今では、卒園児の保護者の方に「先生うちの子、優しいね、親切だねって周りの人たちに言われるんですよ。」って言われることが増えてきたんです。保育って数字や成果として、目に見えるようなものではないけれど、自分たちの保育が間違っていないんだと確認することができ、それはすごく嬉しいことですね。

求職者へのメッセージ、求める人物像

大人も笑顔になれる職場環境づくり

「子ども主体の保育はやりがいがいっぱい」笑顔が絶えない大竹園長先生。
「子ども主体の保育はやりがいがいっぱい」笑顔が絶えない大竹園長先生。

私たちの法人では、働く人たちが将来的なビジョンを描けるようにキャリアパスモデル表があります。また残業などについても毎年方針を立てて改善しています。業務効率化のためのアプリや保育ソフトも取り入れています。書類を作ることに時間をかけるのではなく、保育に力を注ぐことができるように、文章は「伝える・伝わる」ということを意識してもらえばいいよ、と職員には伝えています。

園内研修では、法人として実施しているものや、乳児と幼児に分かれての研修があります。また職員会議の中で、短時間ではありますが「プチ研修」をしています。例えばヒヤリハットや障害児の保育のこと、子どもの人権、保育記録や保育ソフトの使い方など多岐にわたります。

また前述のように、保育ドキュメンテーションやポートフォーリオを作成することそのものが日々研修になっています。子どものつぶやきが、本当にかわいいんですよ!そのつぶやきをドキュメンテーションに書いてくれる職員の笑顔がまた素敵なんです。職員の笑顔が全然変わってきました。

外部研修では、現在はZoomやオンデマンドの研修が多いです。学んだことを、職員同士で共有しながら日々の保育に生かしていかれたらと思います。

ミーティングはクラスごとに時間を決めてやっています。例えば、0,1歳クラスが、パートさんにも入ってもらってミーティングをしたいときには、幼児棟の大きなクラスの先生が保育のサポートに入ります。お互いに助け合いながら順番にやってます。もちろん時間にも職員の数にも限りがありますから、午睡中の時間を活用し工夫してやりくりしています。パートさんもミーティングに参加してもらうことはとても重要です。思いを共有すること、それが保育の土台になります。人それぞれの価値観や経験は違いますが、どのように向き合っていくか、どのように保育を進めるのかなど、お互いの違いを認め合い、話し合って進めていくこと、そんな保育者の在り方が大切だと考えています。

人を大切にし、自分も大切にされる。大変なときには一緒に大変で、和やかなときは和やかでいることを楽しむ。子どもも大人も一緒に生活していく仲間です。

黄色い時計塔が園のシンボル。隣接する自治会館では一時保育も行っている。
黄色い時計塔が園のシンボル。隣接する自治会館では一時保育も行っている。

キッズビレッジつくし保育園を好きと言ってくれる仲間が増えたらうれしいです!

サンマを焼いたり、キャンプごっこでバーベキューをしたり、アウトドアや森遊びとか自然遊びが好きな職員が多いんですよ。毎日の保育の中でも自然物で遊んだり、野菜を育てたりすることが多いかもしれません。そうした自然遊びや、異年齢保育、選択制の保育、そして何よりも子ども主体の保育に興味のある方、経験はないけどやってみたい方、ぜひ私たちの仲間になっていただきたいですね!一人でも「この保育園、好きです」と言ってくれる方が増えたらうれしいです。

取材を終えて・・・

「園庭、園舎のあちこちで思い思いの遊びを楽しむ子どもたち。」

いま目の前の子どもの姿から学び発展し続ける……
「子ども主体の保育」の魅力あふれる保育園

キャンプ場やログハウスのような佇まいの園舎は、玄関を一歩入ると高い天井の広いホールがお出迎え。まるで避暑地に旅行に来たかのようです。そしてホールの向こうからは、おいしそうな給食のにおいが……食育にも力を入れており美味しい給食も自慢のひとつ。何よりも「子ども主体」を実践するための工夫が園舎のあちこちに散りばめられて「面白い!」と心躍る発見がいっぱい。「生活の中に教育がある。子どもを見て子どもの姿から保育は発展していくんです」と語る大竹園長先生の穏やかな笑顔と子どもののびのびした姿がキラキラ輝いていました。

ホームページ: https://kids-tsukushi.jp/

この保育園の施設概要

施設名 キッズビレッジつくし保育園
勤務地 横浜市旭区笹野台4丁目11番19号
最寄り駅 相鉄線 三ツ境駅下車徒歩10分

写真でわかる!保育園の様子