「kid’s room みらいっ子」は2005年、「細山room」からほど近い、「多摩美room」から始まりました。最初は自宅で開園したんです。

私は子どもが4人いるのですが、下の子がまだ小さい頃、知人がやっている保育園を手伝っていました。子どもが小学生になったら家で「おかえり」と迎えてあげたいな、といつも考えていました。そうだ、自宅で保育園を開けばいいんだ！と思いついたんです。その後ほどなく自宅で、古くからの友人と地域保育園「みらいっ子多摩美room」を立ち上げることにしました。

私は結婚前、幼稚園教諭をしていたのですが、大人主体の園の方針に疑問を抱くこともしばしば。「いつか子どもたちが幼稚園の園長先生になりたい！」という夢を抱いていました。

子どもたちが安心して過ごせる環境で、一人ひとりに寄り添うていねいな保育をすること、そしてお母さんお父さんが預けやすく、相談しやすい居場所をつくりたい。専業主婦のお母さんだって、たまには息抜きしたいこともありますよね。でも預けられる人がいない。育児ストレスから虐待につながってしまうこともある。働いている人はもちろん認可保育園には入れない人も気軽に預けられるような園にしたいと考え、低価格で預けられる「ぷち保育」というプランも盛り込み、一つひとつ手作り・手探りしながら「kid's room みらいっ子」はスタートしました。

私が4人目の子どもを妊娠したときにも、手伝ってくれる人が現れて。みなさん育児を経験している元保育士さんだったり、元幼稚園の先生だったり……いつも誰か助けてくれる人が現れて、ママ友や地域のつながりでいろいろな人に出会い職員にも恵まれてきました。本当に心から感謝しています。保育園は順調でしたが、園児も増えて自分の子どもたちも大きくなり、自宅で保育園を続けることがなかなか難しい環境になってきました。

そこで新しく園舎を探していたところ、偶然こちらの大家さんと出会うことができて、認定保育園「みらいっ子細山room」を開園することができたんです。大家さんも私たちの想いをしっかり受け止めて協力してくださって。本当に素晴らしいご縁をいただきました。

卒園した子どもたち、幼稚園に転園した子、そして小学生になった子もそして保護者も、「先生こんにちは！」とたくさん遊びに来てくれます。素敵なご縁があって、2階には学童保育も作ることができたんですよ。家に帰ってきた時と同じように子どもたちが「ただいま」と言って帰ってきます。「おかえり」と迎え入れられてあげられる光景が日常にあることが何よりのやりがいですね。みらいっ子は、入園したら一生みらいっ子なんです。子どもはもちろん、職員、保護者、卒園児、かかわるすべての人が大切にされていることを実感できること、みらいっ子ではそんなあたたかい関係性をとても大切にしています。ご家庭の事情はさまざまですが、困っていることや相談したいことに耳を傾け、お母さんお父さんがいつでも相談しやすい存在でありたいと思っています。みらいっ子の輪が地域に広がっていくのは本当にうれしいですね。

「みらいっ子まつり」は、みんながとっても楽しみにしている行事です。コロナ禍の1年目はできなかったのですが、昨年は工夫しながら開催することができました。以前は大人も子どもも大勢集まって盛大にやっていたのですが、昨年は感染症対策をしっかりした上で保護者参加としました。一世帯ずつ入っていただいて、ゲームコーナーやお店屋さんなど、とっても盛り上がりました。子どもも大人も思い出に残る楽しい経験をすることができたのではないかと思います。その他にも「おもちつき」や「ミニ運動会」なども、みんなが大好きな行事！卒園児やその保護者も楽しみに遊びに来てくれます。また、地域子育て支援として続けている「読み聞かせ会・子育てサークル みらいっ子くらぶ」や「園庭開放」も大人気。これからも、みらいっ子らしい活動を続けていきたいと思っています。

シフトも助け合い。職員会議やミーティング、園内研修なども、パートさんも含め全員で、こまめにコミュニケーションしています。とても働きやすい職場だと思います。

仕事をしていなくても、ちょっと預けたいときにも気軽に預けられる、私たちのような小さな認定保育園は、地域の中でも貴重な存在。地域の人たちに支えられてやってきました。保育園はその恩返しでもある。だからこそ、この園をずっと続けていかれたらいいなと思っています。笑顔が明るくて、怒らない人、やさしい人。そんな方が新しい仲間になってくれたら……みらいっ子を未来につないでいってくださる方との出会いを楽しみにしています。