ベリーキッズ柿生園川崎市認定保育園_有限会社オフィスノイザート

英語、アート、リトミックを取り入れた保育を実践。
家庭的な環境で、子どもの可能性を引き出す。

川崎市麻生区、小田急線柿生駅北口からすぐ、春には川沿いの桜が見事な遊歩道のある麻生川(あさおがわ)沿いにある「ベリーキッズ柿生園」は、0~2歳児を対象とした川崎市認定保育園。子どもたちが大好きな電車も目の前に見える自然豊かな環境です。姉妹園「ベリーキッズはるひ野園」とともに2つの保育園を運営する、ベリーキッズ代表の高橋志摩子先生にお話しを伺いました。

ベリーキッズ柿生園

ベリーキッズ柿生園ができるまで

ベビーシッターから始まった物語。
ご縁がつながり託児室から保育園へ。

保育園を立ち上げたのが、2003年になります。まもなく20年です。きっかけは夫の起業でした。ところが会社を立ち上げる準備をしていた時、夫が病気になってしまったんです。その闘病中に「会社を作りたい」と。1月に病気がわかって、8月に転移してしまったんですね、病院に行く時に車の中で「自分はもう体力も落ちてしまって、代表として人前に出ることができないから、やってくれない?」と言われました。
突然運転中に雑談のような感じで言われたので軽い気持ちで「いいよ」なんて引き受けたんですよね。その年の10月に亡くなってしまったんです。その時の言葉がきっかけで、そのまま会社の代表になっちゃったという感じでした。

会社を「やらない」という選択肢もあったんですが、まだ子育て中でもあったので、子どもを養うためには私が働かなければならない。就職しようかな、それともやっぱり会社をやってみようかな、と結構悩みましたね。学生時代の友達にも相談しました。46歳の時のことです。

実は、若い頃に英語の教員経験があったので、その経験を生かしてみようかなと考えたのですが、その年になって正職員で教員になるというのはブランクがあって難しいことがわかりました。
考えに考え抜き「会社は、旦那さんが残してくれたプレゼント。私にできることをやってみよう」と心に決めました。ずっと子育てしかやってこなかったので、子育てを手伝う仕事ができたらいいな、と考えました。とはいえ、会社に勤めたこともなかったので、会社ってどういうものなのか、会社を運営するにはどうしたらいいか、右も左も分からない。最初の1年間はアップアップで、夫と一緒に企業しようとしていた部下の人たちから、教えてもらいながら準備を進めていきました。

そして私に分かる範囲で、私の身の丈に合う事をやって行こうと、まずはベビーシッター会社としてやっていくことにしました。
おかげさまで利用者も増えていきましたが、日本ではまだベビーシッターがそこまで浸透していないですよね。普通のご家庭にとって、ベビーシッターはそこまで身近なものではないと思います。実際に「どこで預かっていただけるんですか」という問い合わせの方が増えるようになっていきました。

0,1,2歳は特に成長が著しい時期。発達に合わせて絵本や玩具など、職員間で話し合いながら環境を整えている。
0,1,2歳は特に成長が著しい時期。発達に合わせて絵本や玩具など、職員間で話し合いながら環境を整えている。

認定保育園として運営できるまで

子どもを預けられずに困っていらっしゃる方々の声を耳にするたびに、「ひとつの場所で子どもを預かる、託児サービスを立ち上げたほうがいいかな」と思うようになりました。

そこで、事務所として借りていた、小さい戸建てを託児室にすることにしました。
託児室兼事務所みたいな感じですね。しばらくはベビーシッターと小さい託児室を運営していました。そしていろいろなご縁がつながって、現在の「ベリーキッズ」保育園の運営を引き継ぐことになったのです。そして毎年頑張って運営し続けて、気づいたら20年近く経ってしまいました。

ちょうどベリーキッズを受け継いだ次の年に、すぐそばに大きな認可保育園ができたんですね。認可園との差別化が必要だということもあって、英語の教員だった経験を生かし、音楽と英語を柱とした保育方針としました。ちょっと他の保育園と違うものをやってみようと思ったのがきっかけで今の形になっているという感じです。

運営面では、当初は地域保育園でしたので、助成金をいただけるわけでもなく、とても苦しい時期が続きました。今から10年ほど前に、地域保育園でやっているメンバーを認めて認定にしてくださいという活動をしたんです。「川崎市認定保育園と私たちのような助成をもらえない地域保育園は何も変わりない。同じように子どもたちをみているのに、これでは不公平だ」ということを切実に訴えました。

その結果、区や市にかけあって、何年もかかって、結果的に認定保育園として認めていただくことができました。「これで続けていかれる」と、とても嬉しかったですね。そのおかげで運営が安定していきました。いまでもその頃の仲間とはつながりが強いですね。

ベリーキッズ柿生園の保育について

少人数だからできる、きめ細やかな保育と教育。
“エデュケア”という言葉に込めた思い。

アートの時間は日頃の保育活動の中でもたくさん取り入れている。この日はお野菜スタンプを使った作品づくり。
アートの時間は日頃の保育活動の中でもたくさん取り入れている。この日はお野菜スタンプを使った作品づくり。

赤ちゃんの時期は特定の大人とのしっかりとした愛着関係が土台となります。毎日の保育の中で、目の前にいる子ども一人ひとりの願いを受け止め、家庭のようにくつろげる環境づくりを何よりも大切にしています。
そして私たちの強みは、英語と音楽を取り入れた教育プログラムです。しっかりとした保育と質の高い教育、それが“エデュケア”という言葉に込めた思いです。

0、1、2歳の子どもたちに、お勉強ではなく、音楽の楽しさを使って、日本語の歌と英語の歌と色んなリズム遊びをして…と、さまざまな体験を通して、豊かな感性や想像性、そしてこれからますます多様性が求められるグローバルな社会を生きる力を育む目標としています。

英語のレッスンは、基本的に週2回、リトミックは週1回行っています。英語もリトミックも専門の先生に来ていただいています。また毎日朝の会で、英語と音楽を取り入れた活動をしています。

教員をしていたころから、もっと日常の中で、英語が使える環境のようなものができたらいいなとずっと考えていたんですね。歌で英語に触れたり単語を覚えたり、英語で会話をしたり、無理なく保育の中に取り入れています。子どもたちはとても耳がいいので、きれいに発音するんですよね。日常の中に英語と音楽が溢れている環境の中で過ごしています。

インターナショナルスクールとかですと、日本語は基本的には使わずすべて英語です、という感じになっていると思うのですが、そうではなくて、ここではあくまでも日本語が基本。コミュニケーションは母国語である日本語でできたうえで、英語という言語があるんだよっていうのを子どもたちが自然に学ぶ。そしてもし英語に興味を持ったらそのまま続けていってねっていうきっかけを作ることができる、そこを大切にしています。

音楽もそうです。ベリーの卒園生をみると、英語を続けている子、音楽が好きになってピアノをやっている子、今高校生になる子たちは、ブラスバンドをやったり、音大を目指したりしている子もいるんですよ。
また、アートにもこだわっています。実はアートに関しては、私全然美術がダメで(笑)本当に苦手だったんです。
だけど素敵な事じゃないですか。保育士たちが工夫してアートのプログラムを実施しています。いろいろな素材を使って、遊んだり、大きな物を作ったり。子どもも大人も楽しんでいます。

私たち保育者の役割は、「これが好きだな、得意だな」と子ども自身が見つけるきっかけを提供することだと思います。そして何か一つでも自分の“好き”や“得意”を見つけることができたら自分で伸ばしていくことができますよね。

園の周辺には川や緑道、公園などお散歩コースがたくさんあるんですよ。この川沿いも、カモがいるんですが、カモの赤ちゃんを見られたって子どもたちは大喜びしていました。
電車も目の前を走っているので毎日みられます。
乳幼児期は体つくりも大事ですから戸外活動を大切にしています。できるだけたくさん歩きましょうということを基本に散歩へでかけ、外遊びを楽しんでいます。

食材にもこだわった給食・おやつはすべて手作り。パンの腕もプロ級の栄養士さん。
食材にもこだわった給食・おやつはすべて手作り。パンの腕もプロ級の栄養士さん。

食や行事にもこだわって親子の触れ合いの機会に

もう一つ園の特徴として、給食があります。乳幼児の心身の発達を支える大切な食だからこそ、食材にこだわっています。調味料やハム無添加のもの、野菜や肉、魚もお店にこだわっており、体にいいものを使っています。

当園では乳と卵、アレルギー食材を抜いた食事にしています。みんなで同じものを食べられるように、という考え方が基本です。栄養士がおりますので、川崎市の献立をベースにオリジナルの献立を作っています。乳は豆乳に、卵は完全に除去、という形です。
また、この栄養士さんがパンの専門家なんですよ。ほんとにおいしいパンを焼いてくださるんです。子どもたちはおやつで食べていますが、夏祭りなどのときには、保護者の方にも食べていただいています。

行事は8月に夏祭り、10月にハロウィン、11月に遠足、12月にクリスマス会、3月に卒園式をやっています。

夏祭りは、今年ははるひ野と合同で行いました。ヨーヨーすくい、お魚釣り、ゲームなどのほかに、日頃やっている英語とリトミック、それからアートも特別なプログラムをつくって組んで、そこに参加していただくという感じの企画をしました。

ハロウィンは、子どもたちが仮装をして、ママたちが、コースのポイントに立って待っているんです。「トリックオアトリート」って言っておやつをもらったら、そこからはママ達と一緒に歩く。子どもたちも本当にうれしそうで。本当に簡単ですけれども、親子の触れ合いの機会にもなっています。
遠足は、毎年こどもの国に行きます。現地集合、ご家族で参加していただいています。うちは運動会がないので、その遠足の時に、親子レクレーションのような感じで芝生を使わせていただいて、2・3競技をしているんですよ。
クリスマス会は、子どもたちの日頃の様子や成長を見てもらう機会。英語の歌を披露したり、発表的に劇遊びなどをやったりしています。

当園は2歳児で卒園なのですが、卒園証書もあげて。とても感動的な一コマです。ほんとは、この園にずっといたいのにって言ってくださる方も多いです。はるひ野の場合はお教室もやっているのですが、幼稚園に行っても、小学生になっても「何かあったら相談してくださいね」という場所にはなっていますね。

少人数なので、保護者の方との関係性もとても近いです。一緒に子育てしている感じなんです。保護者と職員の距離も子どもとの距離も。みんなで相談し合いながら日々生活しているという感覚です。

求職者へのメッセージ、求める人物像

保育の道を受け継いでくれた二人の娘と
地域の子育て家庭のために。

地域のママ・パパのために!と園を続けてきた高橋園長先生。卒園児もいつでも遊びに来れる居場所づくりを目指している。
地域のママ・パパのために!と園を続けてきた高橋園長先生。卒園児もいつでも遊びに来れる居場所づくりを目指している。

職員を採用するときの決め手は、子どもの気持ちを分かってくれる人、分かろうとする人かどうかです。
私が少人数にこだわろうとしているところは、やはり保育園って、安全第一で預かることが仕事だと思うんです。一番大切なのは子どもたちの生命ですから、あまりたくさんの子を預かると、管理的にならざるを得ないところもあります。一人ひとりの子どもに寄り添って一人ひとりの子どもたちの欲求に応えるためにも、少人数じゃなきゃ難しいなと思っています。

例えば、子どもって、ちょっとしたことで気分を害してふてくされちゃって、というようなことってあるじゃないですか。友だちと揉めたのかもしれないし、何か気に食わないことをされたのかもしれない。「泣いているな」「あら、この子ふてくされているな」と現象だけを見て「泣かないで」「いまそれはやめて」と思うのではなく、「何が原因なのかな?」「何が嫌なんだろう」と子どもの目線に立ってちゃんと見てあげようとする人。忙しいからと流れ作業みたいになってしまって、大人の声がけやかかわりも雑になってしまうのは、本当の意味での“子ども主体の保育”ではないと思うんです。ちょっと手を止めて、まずは「どうしたの?」って、子どもの気持ちを第一に考えてくれる人、それが保育に携わる人間として、一番大事かなと考えています。

職員の研修は、原則として市や区のオンライン研修を受けてもらっています。小さい保育園は職員も少ないので、外部に研修に行くとなるとなかなか時間の確保が難しいのですが、オンラインですと、保育中ちょっと空いてる時間に受講することが出来るので、時代的に研修もすごく受けやすくなって良かったなと思っています。

職員とのコミュニケーションとしては、全体ミーティングが月に1回。あとは常勤ミーティングを週1回やっています。残業はありません。保育の書類を書くために、とか、行事の準備が終わらない、と言った理由で、残業するのは本末転倒です。職員にはプライベートも大切にしてもらいたい、ですから、基本的には家にもって帰ることは絶対なしね、ということはいつも話しています。みんなシフト通り、勤務時間であがれていますよ。

自然光あふれる広い保育室。雨の日ものびのび身体を動かして遊ぶことができる。
自然光あふれる広い保育室。雨の日ものびのび身体を動かして遊ぶことができる。

保育園を本格的に始めたときには、長女が大学生で一番下はまだ、小学生だったんですね。子育て真っ最中だったので、自分で自由に働けるという意味では会社の経営は良かったと思います。最初は「いつ辞めよう」って、いつも考えていました。夫の跡を引き継いで、なんとなく始まっちゃった仕事だったから、いつ辞めようかなって気持ちが大きかったんです。経営的にも続けるのは無理かな、と諦めかけていたこともありました。とにかく無我夢中でここまでやってきました。

そして気が付いたら娘二人が、なぜか保育士になっていたんです。
長女の方は資格が取れたときに、そのままうちの会社に入社して、ずっと手伝ってくれているんですけど、次女は全然別の業界で就活頑張って、すごい頑張って入った会社だったのに辞めちゃって。その後保育園でアルバイトしながら資格を取って、認可保育園に努めたんですよ。
二人とも、言葉では言わないけれど、私がやってきたことを見ていてくれたのかな、と思っています。本当に一生懸命頑張ってくれているので、二人のためにも会社は続けていきたい。そして何といっても地域の子育てママ・パパたちのためにますます頑張っていこう!と思っています。

取材を終えて・・・

愛情豊かでていねいな保育
大切な原点を思い出させてくれる園

ベリーキッズ柿生園は、0~2歳という乳幼児期の環境や大人のかかわりが、どれほどその後の人生にとって大きな影響を及ぼすか……子どもにとっての“最善の利益”を考えることの大切さ、保育の原点を思い出させてくれる保育園。一歩足を踏みこんだ瞬間に、心の中から優しさがあふれてくるような、あたたかい気持ちにさせてくれる。それは代表の高橋先生と娘さんでもある園長、職員のみなさんのまなざしが、自然体でそして徹底的に“子どもの目線”だからなのでしょう。この子にとっての一日が、穏やかで幸せであるようにと願いながらともに生活している。そんな幸せな空間がありました。

この保育園の施設概要

施設名 ベリーキッズ柿生園
勤務地 神奈川県川崎市麻生区片平2丁目25−1 サンパレス日向 2階
最寄り駅 柿生駅から徒歩5分

写真でわかる!保育園の様子

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