興本保育園社会福祉法人 太陽会

毎日楽しく園に来られること。
シンプルだけど、それがいちばん!

足立区を走る新交通システム「日暮里・舎人ライナー」の「江北駅」から徒歩4分。集合住宅の1階部分にある広い園庭と園舎、カラフルな屋根が特徴的な「興本(おきもと)保育園」。にこやかに迎えてくださったのは爽やかな笑顔が素敵な、板倉達也園長先生。園内をじっくりご案内していただき、貴重なお話を伺いました。

興本保育園

法人の概要、園の取り組み

地域に根差し、45年。保育をめぐる環境も様変わり。

年齢別の保育室は、園庭に面しており、それぞれの発達に合った環境を柔軟に整えている。
年齢別の保育室は、園庭に面しており、それぞれの発達に合った環境を柔軟に整えている。

私たちの運営母体である「社会福祉法人太陽会」は、もともとは介護の施設から始まっています。今年で45周年という歴史ある法人です。

現在、保育園を5つ運営しています。公立保育園からの民間移設になる際に受託するという形で展開してきました。太陽保育園、新田おひさま保育園、千住保育園、興本保育園、北千住太陽保育園の全5園があるのですが、園同士の交流も盛んです。

「待機児童ゼロ」が掲げられ、国や首都圏の自治体がこぞって保育園を作っていた時代に、ここ足立区でも保育園がたくさんできました。
爆発的に保育園が増えたことによって待機児童は解消されましたが、少子化がさらに進んだ現在では、反対に空き定員が区内だけでも約1,000人になっています。たったの数年で保育をめぐる環境が逆転してしまったんですね。

それなのに未だに保育士不足、取り合いの状況は続いています。定員分の保育士を配置しなければいけないという基準、国や自治体の決まりがあるからなんですね。こちらの地域のように人口が増えているところと、減っているところがあり、同じ区内でも状況はだいぶ違うようです。

大きなマンションなどもできて、足立区も一時的に子育て世帯数は増えました。しかしその子育て家庭がずっと、子どもを産み続けるわけではありません。世帯の年齢も上がるわけです。
ですからある程度年数が経つと、落ち着くのは当たり前。行政も試行錯誤なんでしょうけれども…。施策を読み間違えたところもあるんじゃないのかな?なんて感じることもあります。

保育士として、園長として

教師との出会いが、保育の道へ導いてくれた

運動会もできる広々とした園庭にはプールも常設。園の向かい側にある小中学校との連携・交流もさかん。
運動会もできる広々とした園庭にはプールも常設。園の向かい側にある小中学校との連携・交流もさかん。

私には10歳離れた従妹がいて、その子が赤ちゃんだったときに傍で見ていて
「子どもにかかわる仕事がしたいな」と思うようになりました。
いま思えばそれが保育士になりたい、とう夢を持つようになったきっかけでした。

しかし家庭の事情で進学は諦めて、高校もすぐに就職できるようにと商業科を選びました。
就職情報が解禁された日に進路指導室に行ったら、進路指導の先生に「お前も就職組か」と言われたんです。

そこで「本当は保育士になりたかったんだけどね」と言ったら、
「え?お前それ、担任の先生知ってるの?」って。「いや、でもうちお金ないもん」って言ったら、
「お金なんて、どうにでもなるんだよ」って言ってくれたんです。
熱血先生だったんですね。
そして「俺はいますぐ担任のところに行ってくる」と。
そして担任に「先生は板倉が進学したいの、知ってるんですか?」と、話をつけてくれました。

もう本当にドラマのような展開で。すぐに2人の先生と面談し、
「こういう書類があるから、お前この面接行け」って言ってくれて…「あ、はぁ…」と心ここにあらずで、
でも自分の夢がかなうと思うととてもうれしかったですね。

あれよあれよという間に、高3の夏には進学をめざしていました。もう訳が分かりませんでした(笑)。
今思い返すと、導かれていたんですね。
そのときの進路指導の先生に、一筆お礼状を書きたいんですが、 どこにいらっしゃるかわからないんです。

何年か前に、地域の高校の福祉保育コースから講義を頼まれました。
これは恩返しの機会だと思い、保育士をめざす高校生たちに
「自分もこういう経緯があって。でも、もしやりたいことがあったら、一言でもいいからそれを誰かに伝えると、人生が変わる。だから決して諦めないでね」と伝えました。

職場環境の魅力

長く楽しく働ける職場環境をめざして

折り紙の折り方を丁寧に解説した壁面。さりげないサポートが子どもの創造力や意欲を育てる。
折り紙の折り方を丁寧に解説した壁面。さりげないサポートが子どもの創造力や意欲を育てる。

そんなこんなで保育の道ひとすじ。今年で19年目になります。
もともと公立保育園の非常勤職員を2年経験し、そのあと太陽会に入職しました。
法人では17年目になります。保育士から主任になり、そして園長になり…という経歴です。
前任の園長ももともと本園(太陽保育園)の保育士で、同僚でした。
法人内の5つの保育園の園長や主任は、一緒に仕事していた人たちばかりです。

足立区には公立保育園にもレジェンド的な園長先生が多いのですが、当法人も負けてはいません。
法人本部が今年で45周年なんですが、定年までお勤めの方が2人います。
中には20歳からお勤めの方もいます。
定年まで勤め上げる方が、毎年2~3人ずついるんです。定年後も嘱託職員として残っていらっしゃいます。

若い職員も多く、今年に入って二人が産休を取りました。みんな戻ってきてくれるんですよ。
法人全体で言うと離職率が低くて、離職する理由はうちの園がっていうよりも、家庭の事情で退職される方が多いですね。
他の職種に一度転職したものの、戻ってきてくれた職員もいます。

男性保育士も活躍していますよ。各園に数人ずついます。
自分も男性だからわかるんですけど、なかなか女性の職場でやっていくのは難しい。
やはり生物学的な特質の差というものは、どうしたってありますよね。
男子たちが結構ボーっとしてるところもあって(笑)。「頑張れ、声出せ」っていつも励ましています。
気が効かないところとか、めんどうくさがり屋さんなところとか。
でも別にそれは男性だから女性だから、というのではなく、個性ですから。それぞれのいいところを伸ばして、自分らしく働けたらいいですよね。

保育で大切にしていること

子どもが毎日来たくなる空間。人も環境の一部

「現場大好き、保育大好き!」と語る、板倉達也 園長先生。
「現場大好き、保育大好き!」と語る、板倉達也 園長先生。

自分が好きな遊びにとことん遊びこむことができるように、各歳児の部屋はコーナー保育の環境になっています。雨の日でも外に出られるぐらいの広さはありますね。広いホールもあります。外でも中でもゆったり遊ぶことができる広さがあるので、恵まれていますね。

見学に来た方が、常設のプールを見て「いいですね!」とおっしゃってくださるのですが、大変残念ながら暑さ指数で今年はほぼ入れなかったです。暑すぎて、8月は2回。外に出ること自体が危険な暑さになってきました。年々環境が変わっているのを感じます。5年前とも 10年前とも違う。10年前は幼児クラスの担任でしたが 7月には蝉取りにも行っていたんですよ。いま、暑すぎて蝉取りなんて、もう行かれないですよね。子どもたちを取り巻く環境が、地球規模で変わっているのを感じます。

保育面でもゆったりと子どもと向き合えるように、シフトに配慮しながら、基準より1人多く配置するようにしています。

もともと一緒に働いてた先輩から、「先生、前のほうが尖ってましたよ」と言われました。園長ですから、いつまでも尖っていられないじゃないですか(笑)
主任の時代は、やはり保育の指導をしたりもするので、園長が言わないことを主任だからこそ言わなきゃいけない場面もある。園長になるとだいぶ何か違うなって思います。「主任だったら、これ言ってたな」って思うことも、いまでは、ちょっと様子を見てから言うようにしています。一旦見てから、観察してから。もちろん、違うことはちゃんと言わなくてはいけないこともあります。

チーム保育

保育を通して、学び合い、磨き合う

ホールでは運動遊びものびのびできる。雨の日も大活躍。
ホールでは運動遊びものびのびできる。雨の日も大活躍。

うちの園はチームワークがとても良いんです。連携をとってみんなで協力的に取り組んでいます。
主任も一人ひとりにこまめに声をかけてくれて、みんなをよくまとめてくれているので本当に助かっています。

職員会議は月1回、乳児、幼児、全体の保育会議も月2回程度行っています。
ほぼ全員が参加できるようにしています。
例えば保育の質を上げるという部分だったりとかは、よく話題になりますよね。
うちの園は連携がすごく取れている。連携は取れているのだけれど“意見を出し合う”ことに関しては、まだ弱いなと思います。


自分が保育士になったばかりの19年前とは、保育をめぐる環境もだいぶ変わっています。
いまは、何かちょっとあるとすぐに問題になる難しい時代になってきましたよね。
でも、子どもはいつの時代も変わらないわけです。

私はいつも職員に「子どものことを考えて保育していれば、まず、いわゆる「不適切保育」というような間違いは起こらないから、まず何よりもその視点を大切に、保育をしようね」ということを話しています。
何でもかんでも不適切保育って言われちゃうから、萎縮してしまうところもあります。
何かを子どもに伝える時にも、 一方的ではなく、まずは子どもの気持ちを汲む。耳を傾ける。
子どもの人権を尊重することを念頭に置いてれば、それが自然に言葉や態度、何よりも保育そのものに現れてきますよね。

泣き声が聞こえると、ついつい「どうしたの?」って保育室を覗きに行きます。
職員は、うっとうしいと思うんですけどね。毎日保育室をぐるぐる回っています。
保育大好き、現場大好きなんです。もちろんできるだけ、保育を乱さないようにしています。
邪魔にならないように、 さりげなくサポートしています。

自分が担任を持っていた頃、前園長から言われたのは
「板倉くんは、“あきらめない”っていう言葉好きだよね」
「え、言ってます?」
「あなたよく言葉でも言ってるし、お便りでもよく書いてるわよ」と。

確かに、あきらめずにチャレンジする気持ちを大切にしているところはありました。
幼児クラスの担任が多かったというのもあると思います。
でも園長になってから、視点が変わりました。いまでは、毎日保育園に行って楽しいって思ってもらいたい。
ただそれだけでいい。そんなことをシンプルに大切にしています。

子育て家庭とともに

保育園は、子育て中の“駆け込み寺”的な側面も

ゆったり絵本を読めるコーナー。大好きな絵本をすぐ手にとってくつろげる。
ゆったり絵本を読めるコーナー。大好きな絵本をすぐ手にとってくつろげる。

配慮が必要なご家庭にも丁寧に対応しています。
支援センターとやり取りしたり、連携をとったり。現場は保育に集中してもらえるように、園長である私が対応しています。
子育てで悩んでしまって、一人で抱え込んでしまう方もいるので、日頃から、保護者の方が心を開いて、相談しやすいように心がけています。

「いつも心配してるよ」という心持ちが大切です。
「お母さん最近疲れてない?大丈夫?」とか言って。ちょっとお休みが長引いたらお電話を入れたり。
保育園に来てくれさえすれば、安心ですからね。
担任が言えないことは、 私から伝えています。地域の子育ての、駆け込み寺的な感じですよね、保育園って。
地域の会合のような場にも積極的に顔を出すようにしています。

こちらの園は公設民営ですので名称も「足立区立興本保育園」です。建物自体は区営の団地となっています。公立保育園から民間委託された直後は別の場所で運営していたのですが、8年前にこちらに移転してきました。
定員はほぼいっぱいです。来年度の見学希望もとても多いですね。
2歳まで育休を取って、3歳から保育園に入れたい、という方が増えているように感じます。


研修・人材育成

法人全体の研修、交流もさかん。学ぶ機会も豊富

1歳児クラスにも遊具が豊富。楽しく身体を動かしながら感覚運動の発達を促す。
1歳児クラスにも遊具が豊富。楽しく身体を動かしながら感覚運動の発達を促す。

1年に1回、法人全体で大きな研修があります。先生を外部からお招きして。
午前中その研修をやったあと、午後は各園の取り組みを発表します。
その他にも、各園での研修があるんですけど、他園の職員も参加ができるようにしています。
交流の機会、学び合いの場になっています。運動会などの行事も、見に行ったりもしています。

園内研修では、みんなが意見を出して、保育を良くしていくということを軸に据える、それを大切にしています。
声の大きい人だけでなく、後から入ってきた職員も、みんなが平等に意見を言い合えるように配慮しています。
一人ひとりの人間力、保育力に磨きをかけるというイメージですね。

研修のテーマは多岐にわたります。自分たちで学びたい内容を出し合い、私自身も職員に学んでもらいたいことを提案したりして、月1回ぐらいのペースで実施しています。

例えば今年のテーマのひとつに、「お散歩」があります。園児の置き去りや抜け出しというのが、社会的にも問題になりましたが、コロナ禍で散歩を経験できていない職員から「散歩に行きたいけど安全面が不安」という心配の声があがりました。
公園の遊具も、推奨年齢が3歳以上って書いてあるものが多い。
そうすると乳児クラスは遊べない、でも「遊びたい」という子どもたちの気持ちにどのように向き合ったらいいのか…そのような感じで、安全面から遊びの充実まで、戸外活動についてみんなで学び合い、研究したりしています。

給与・待遇について

待遇面の充実も、働きやすい職場環境も魅力的

私たちの法人は、給与面が充実していることが一番の特徴だと思います。
給与ベースも、これは自治体の人から言われたのですが、東京都内でも上位なのだそうです。
有給休暇も取りやすく、自由度が高いですね。とにかく「できるだけ頑張って有給休暇を取りましょう」と言っています。

持ち帰り残業はありません。
連絡帳アプリや保育書類の一部はICT化しています。保育の書類もだいぶ紙は減ってききています。
行事の前など、あと少しだから頑張って残って準備しよう、ということはもちろんありますが、残業は少なめです。私からは「早く帰ってね」といつも言ってます。超過勤務も、必要であればもちろんきちんと付けます。みんな、上手に時間をやりくりしていますね。

行事について

子どもも大人もとにかく無理なく楽しく

給食では、年長児は「お誕生日リクエストメニュー」を実施しています。
自分の好きなものをリクエストすると給食で出てくるんです。
あるとき、「お寿司」といった子がいたんですが、栄養士が上手に「おすし」風にアレンジしてくれました。子どもの願いをできるだけ叶える、それを土台にしています。

コロナ禍で行事がなかなか難しくなったときに、行事の在り方を見直しました。
「乳児さんが、運動会とか発表会に出るのってどうなんだろうね」などの意見が出ました。
慣れない環境で泣いてしまったり、子どもにとっても大人にとっても負担が大きい。
それなら、普段の保育活動を充実させた方がいいんじゃないかということになりました。
そこで現在では、「運動会」ではなく「おきスポ(3・4・5歳児運動発表会)、そして発表会は、「おきも座(3・4・5歳児発表会)」として実施しています。

行事は職員も思いっきり楽しみます。「おきも座」では職員劇をやるのですが、去年は「絶対お母さんの役がいいです」って言って(笑)インターネットで割烹着を買いました。メイクもヘアアレンジも完璧お母さんに変身。みんな驚いていました。
もう本当に劇団です。毎年かなり気合を入れて取り組んでいます。

求職者へのメッセージ

入職されたら、クラスに入っていただきながら、当法人の方針や保育の方針、内容について時間をかけて丁寧に伝えていきます。経験のあるなし、長い短いは関係ありません。
保育のスキルが高い、とかそういうことではなく、子どもが好きで、チームワークを大切にできる人がいちばんですね!

【取材を終えて】

インタビュー中にも、保護者がお迎えに来たのを見逃さず、窓から玄関を覗いて優しく声をかけていた板倉園長先生。
笑顔いっぱい、子ども、職員一人ひとりに目配り、心配りを欠かさず、みんなの成長をやさしく見守るまなざし。
まさに太陽のような明るさに包まれて、みんながのびのび過ごしている姿が見られました。
待遇面も安定的。保育士として成長し続けられる環境が魅力的です。

この保育園の施設概要

施設名 興本保育園
勤務地 東京都足立区扇3-24-14
最寄り駅 舎人ライナー 江北駅駅 7分

求人募集要項

現在募集を行っておりません。

詳細はほいくbloom事務局までお問合せください。

写真でわかる!保育園の様子