第2くまのこ園認可保育所_株式会社prior(プリオール)

子どもたちのより良い育ちと
地域の子育て家庭に寄り添う保育園をめざして

南武線「稲田堤」駅から歩いて約3分、第2くまのこ園。園庭からも保育室からも電車がよく見える線路沿いにあります。のびのび過ごせる明るい保育環境の中で、安心してくつろいで過ごす子どもたち。今回は、株式会社prior代表で園長の川口ちか子園長先生に、ご案内いただきました。

第2くまのこ園

第2くまのこ園の保育について

ふつうの子、平凡な子が
楽しく、自分らしくいられる場所

マット運動の時間。この日は年長児が跳び箱にチャレンジ。
マット運動の時間。この日は年長児が跳び箱にチャレンジ。

私が一番目指しているところは、とにかくみんなが心地よく過ごせる環境をつくること

2001年に幼児教育関係の仕事をしていた夫と、稲田堤駅前にある現在の「くまのこ園」の前身であるフランチャイズの無認可保育園を開設しました。

しかし無認可保育園は、川崎市では「地域保育園」という位置づけですから、園児の確保や運営面では苦労続きで大変な時代を経験してきました。しかし、園の保育には自信をもっており、地域の皆様のニーズにお応えできる保育園としてここまでやってきました。その後、認定保育園になることができました。地域保育園や認定保育園の園長先生同士で励まし合って、絆も深まりましたね。

職員は保育への情熱や志を持って就職してくれるわけですし、そんな保育士たちの生活を安定的に支えたい、そのためにもなんとか認可保育園を一つ運営したい……そんな希望を持って頑張っていたところ、認可のチャンスをいただくことに。そして長年の想いが叶って2016年4月1日に、「第2くまのこ園」を開園することができました。

私自身ごく平凡な人間です。学生時代も、保母をやっていた時代も、全然優秀な保育士ではなかったんですね。今も「こんな特徴的な保育をしています!」と特別何かがあるわけではないのですが、だからこそ、できることがあると思うんです。

世の中は「得意なことは、特にないです」という、一般的な人が大多数なのではないかと思っているんです。もちろん自発的に、声をかけなくても努力する子もいる。でも大多数の平凡な子たちが、心地よく過ごせる環境というのが、私が一番目指しているところなんですね。やる気がない子にも「保育園にきたらお友達がいるよ」「明日はこんなことやろうね」と言って、毎日登園して帰っていく……保育園に来ると楽しいなと思ってもらえればいいのかな、と思っています。

とはいえ、保育園は、社会で生きていく上での一歩、生活のはじまりの場です。さまざまな体験をすることも大切。また基本的な生活習慣や社会のルールも身に付けていく場所でもあります。一人ひとりの「やりたい気持ち」を育てていくためにも、職員の言葉かけや保育の環境設定など、みんなで考え工夫しながら進めています。子どもたちにとっての環境は、モノや空間だけではなく、保育に関わる人、地域のすべての人も環境のひとつ。だからこそ研修や地域とのつながりも大切にしています。

例えば子どもの人権について、川崎市が作った冊子を活用した園内研修も行いました。とても項目が細かくて、大切なことがたくさん書いてあるものです。それを配っただけでは、パラパラめくってサラサラっと読んで終わってしまうと思ったので、1つのテーマを毎回取り上げて、この言葉について、みんなが思っていることを掘り下げて考えてみよう、という研修を1年間やりました。言葉一つとっても、解釈は人それぞれですよね。勉強をし合っていると、保育の中でも「あれ、その言い方はどうなんだろう?」と言いやすくなるじゃないですか。職員同士でも学び合っているからこそ、言っていることとやっていることが、全然違うじゃない!と現場の中でも問題意識が出てきやすくなります。「この間、勉強したよね、それ違うよね」「そうだね」と共通意識が持ちやすくなりました。そのような研修を今後も続けていきたいと考えています。

地域との繋がりについて

働く保護者を応援したい!
地域保育園時代から大切にしてきたこと。

電車を見ながらのびのびと遊ぶことができる線路沿いの園庭
電車を見ながらのびのびと遊ぶことができる線路沿いの園庭

お母さんお父さんを手助けしていきたい

認可保育園を立ち上げる前から、保護者支援・子育て支援をとても大切にしてきました。例えば一時保育。認可保育園の一時保育は、登録できてもなかなか利用しづらい状況です。本当に必要としている人が必要な時に利用できない、ということで困っていらっしゃる方がたくさんいます。急に病院へ行かなくてはならない、冠婚葬祭が入った、急に就職の面接があるから預かってほしいなど、それぞれ理由があるのに、事前に申し込んで空きがなければ利用できないという仕組みになっているんですよね。

私たちは、地域保育園、認定保育園の時代から、そういった保護者の方の声にできるだけお応えして、いつでも受け入れられるように心がけてきました。無認可園では保育料金は少し高くなってしまいますが、心から感謝してくださっています。

認可保育園では、規定もありますので、全部にお応えできるわけではないですが、「決まりだからダメです」ということではなく、お母さんお父さんを手助けしたい。これからも寄り添う気持ちを大切に、保護者支援・子育て支援を続けていきたいと考えています。認可だから子どもが入ってくるのは当たり前、と思わず、ていねいな保育をしていこう、と職員にも常々伝えています。

地域の方への子育て支援では、土曜日に園庭開放をしています。また年に2回「保育園で遊ぼう」と呼び掛けてイベントも行っています。毎年6月には親子お楽しみ企画として弦楽四重奏やパーカッションユニットの演奏、また、ひとり芝居、大道芸、マジックショーなど多岐に渡るライブを在園児だけでなく、地域の方にもチラシを配ってお声がけしています。

第2くまのこ園の行事について

保護者に助けられ、支えられて。
臨機応変に見直し工夫して実施した園行事。

玄関の壁面には季節ごとの制作が。貸出絵本コーナーもある
玄関の壁面には季節ごとの制作が。貸出絵本コーナーもある

コロナ禍の1年目は行事もほとんどなくなってしまいましたが、卒園式だけは実施しました。夏祭りは例年ですと保護者も呼んで、縁日やおみこしなどで賑やかに行っていたのですが、ぎりぎりまで考えて、保護者参加は取りやめにしました。しかし、園児が楽しみにしていた夏祭りです。みんなで考えて、平日保育の時間に縁日風のお店屋さんごっこを楽しみました。今年も縁日のような形にして、ひと家庭1人だけ限定ですが保護者にも参加してもらう予定です。

毎年運動会は小学校の体育館を借りて実施しているのですが、昨年は3・4・5歳だけの運動会にしました。学年ごとに時間を分けて、完全入れ替え制で行いました。0・1・2歳はテラスで運動ごっこを園児だけで楽しみました。

2年前の運動会もコロナの真っ只中。3・4・5歳は体育館で実施しましたが保護者には参加してもらえませんでした。そこで園児のお父さんのアイディアで、Zoomで同時配信したんです。

年長の子のお父さんが3人と、年中の子のお父さんが1人、計4人の方がお手伝いを名乗り出てくださったんです。テレビクルーのように、スマホで撮る人、園のビデオで撮る人、パソコン操作する人という形で、同時配信したんですよね。そうしたら、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんも喜んでくださって。カメラワークを確認するために、平日の夜に何回もリハーサルまでしてくださって。とても評判がよかったんです。評判は良かったんですが、やっぱりすごく大変だったんですね。だから1回だけだったんですけれど……。

本当にいろいろな方に支えていただいていると、心から実感しますね。行事の企画なども、途中経過を保護者の方に伝えています。そうすると、みなさんが、こうしたらいいじゃない?ああしたらいいんじゃない?と一緒になって考えてくださるんです。保護者の方とのコミュニケーションも、とても風通しよくできていると思います。

求職者へのメッセージ、求める人物像

職員のコミュニケーションが大切。
情報共有と効率化で働きやすい職場づくり。

地域で保育を始めて20年。優しい笑顔が素敵な川口園長先生。
地域で保育を始めて20年。優しい笑顔が素敵な川口園長先生。

プライベートやご家族との時間は大切にしてもらっています

職員会議などミーティングは全て日中に行っています。職員会議は月1回ですが、毎日子どもが午睡中に玄関先でミーティングをしています。伝達が中心ですが、疑問に思ったことや感じていることを話しやすいようにしています。言いたいことや聞きたいことは、溜めずにその場で言おう、という主旨で毎日ミーティングをしているおかげで、職員同士の連携もよくなっていると思います。

また、日中の方が非常勤の先生方もミーティングに出やすいということもあります。夜の職員会議ということになると、正職員だけの参加になりがちですが、うちの園では非常勤の先生方もとても経験豊かで、思慮深くていい人たちばっかりなんです。保育をする上では非常勤の先生方の力が欠かせません。そこで積極的にクラスごとの話し合いにも入ってもらっています。ついつい担任に遠慮して「もっとこうしたら保育が良くなるかも」というアイディアを言いづらかったりすることもありますよね。クラスのミーティングには、主任と私も入って、非常勤の先生方にも入ってもらってみんなが自分の経験や考え、アイディアを出し合う場にしています。

保育書類はアプリですが、連絡ノートは手書きにしています。残業はできるだけしないようにと話しています。9時間拘束8時間の中で、自分の仕事をやりくりしてね、と私は宣言しているんですね。でもどうしても溜まってしまう分は、土曜出勤のときにまとめてこなしてもらっています。

それから「午睡番」を立てています。それまでは自分のクラスで、子どもが寝てる間に暗がりの中でノートや書類を書いたりしていましたが、休憩時間を削ってしまうことになります。そこで、当番で乳児、幼児で時間を区切って、その当番が午睡だけをみるようにして他の職員は明るいところで書きものの仕事をするという形にしました。先輩に遠慮して帰れないということではなく、自分のシフトの時間で、さっさと帰りましょうと、みんなで決めています。プライベートやご家族との時間は大切ですからね。

天井には森の中の木漏れ日を感じさせる葉っぱの模様が。
天井には森の中の木漏れ日を感じさせる葉っぱの模様が。

「自分たちで作っていこう」

面接に来てくださった方には、園の理念や方針についてじっくりお話しています。私たちは、くまのこ園と、第2くまのこ園、二つだけを運営する小さい会社なので「自分たちで作っていこう」という気風があるから、やりたい事なんでも言ってね、そんな話をさせていただいています。

保育の仕事は、女性がその特性を生かせる仕事だと思うんです。新卒で入って結婚して、子どもができても、女性が家庭のために辞めなくちゃならない、ということがないように、職場としてずっと支えていかれるような会社でありたいと思います。なんとかみんなでやりくりしながら、また戻って来られるように。

そして中には、保育の仕事で嫌な思いをしてしまったり、大規模な園で心折れたりしてしまった人もいます。そんな人たちには、この園で、また保育の楽しさを発見してもらえたらいいですね。小規模な園だからこそ、自分の経験ややりたい保育ができる、自分が発揮しやすい、それが「くまのこ園」の強みではないかな、と思います。

取材を終えて・・・

「地域の子育てを見守り続けるまなざしがあたたかい」

第2くまのこ園の玄関
第2くまのこ園の玄関

園庭の「くまのこ駅」の絵は園長先生自らデザイン。地面に描かれた線路の上を、遊具の車や電車を走らせるのが子どもたちのお気に入りだそう。「私が何もできないから、みんなが助けてくれるんですよ」とおっしゃる謙虚な川口先生。無認可保育園の時代からご苦労を重ねながらも、しっかりとした保育の軸と信念を持って地域の働くお母さんお父さんの子育てを支え続けてこられました。地域のみんなの「ステーション」から、どんな子どもたちが巣立っていくのかとても楽しみです。

この保育園の施設概要

施設名 第2くまのこ園
勤務地 神奈川県川崎市多摩区菅稲田堤3-1-2
最寄り駅 南武線「稲田堤」駅 徒歩約3分

写真でわかる!保育園の様子