美希保育園 北参道社会福祉法人美希福祉会_認可保育園
インタビューの最後に求人情報あり!
可能性と個性を信じる“あったかい保育
“おうち”のような環境を自然体で実践
東京都渋谷区、都営大江戸線・北参道駅やJR千駄ヶ谷駅から歩いてすぐ、まさに都会のど真ん中にある認可保育園「美希保育園北参道」。福岡県久留米市で50年前に法人が開設され、現在6つの保育園を展開している。保育士・幼稚園教諭として経験を積み、開園当初より園長を務める町田知之園長先生にお話しを伺いました。
美希保育園の保育について
きょうだいのように育ち合い、十分に遊ぶ。
それが保育園の大切な役割。
当園では、縦割り保育を実践しています。年齢別の保育活動を軸に据えたうえで、クラスを超えて0~5歳児クラスの子どもが、きょうだいのように関わり育ち合う環境をとても大切にしています。
小さい子たちはお兄ちゃんお姉ちゃんの背中を見て育ち、大きい子は自分より小さい子たちに思いやりをもって接したり助けたりする。子ども同士が自然に成長し合っていくんですね。物質的な環境づくりももちろん大切ですが、何よりも人と人とのかかわりが乳幼児期の大切な栄養になっていくと思っています。
渋谷区はもともとこの地域に住んでいる人も約半数いるそうです。再開発も各地域で計画されていて、新しく流入する人も増えるかもしれません。
開園1~2年目の時は、0・1・2歳は保育園で過ごし、その後は祖父母の代から通っていた幼稚園に転園する、という子も多かったのですが、今はそのまま保育園に残る子も増えて落ち着いてきました。またコロナの影響もあってか、今年は例年以上に一時保育の利用者が多く、そのまま入園する子も多いと感じています。
この保育園は、あえて外からみて保育園だとわからないような設計にしています。まるでおうちみたい、といわれますが、外観だけでなく中に入ると大きなおうち、大きな家族のような雰囲気になっています。
家族と離れて、ほとんどの時間を過ごす場所だからこそ「おうち」にいるような安心感が何よりも必要です。そこにはありのままの自分を、まるごと受け入れてくれる愛情あふれる先生や友だちがいる。そんな環境の中で育った子どもたちは人が大好きで、とても人懐っこいんですね。
遊びを通して、子どもは育ちます。
身体を動かすこと、五感を使うこと、問題を解決する力、ルールやマナー、数や文字への興味など、無理なく自然に、自分の興味に従って、遊ぶという行為を通して自然に身についていく。そして、さまざまな経験を積み重ねていくことで、発達していくことができます。
当園では、保育室や活動内容は、担任をはじめ保育にかかわるすべての職員がこまめに話し合い、子どもにとって一番いいものは何かを考えて組み立てています。
食育にも力をいれています。
「食」は大切な保育活動の一部です。できるだけ無添加で安全な自然食品を使ったメニューと「あったかい食事」を大切にしています。
キッチンは「見えるキッチン」。廊下から作っている様子が見えるので、給食やおやつをどんなふうに作っているのか、食べる楽しみ、においや音なども、体だけでなく心も育んでくれます。作っている職員からも子どもの表情や育ちがよく見えます。
食物アレルギーを持つ子どもも、もちろん安全に十分に配慮し保護者の思いも汲み取りながら、できるだけ一緒に「おいしいね」と言い合えるよう、メニューや食器についても工夫しながら、対応しています。
また、できるだけ旬を味わってほしい、と考えています。給食会議では、旬の食材が入っているかどうかを確認し合っています。スーパーに行けば野菜は一年中何でも手に入りますが、例えば春には、春キャベツや新玉ねぎを使うなど、少しの工夫ですがそういった活動もしています。
屋上では菜園をしており年長児がきゅうりなど夏野菜の栽培をしています。もちろん安全・衛生面的には、それをそのまま提供することはできないのですが、収穫をしてから、給食室に「お願いします」と持っていって、給食できゅうりが出てきたら、子どもたちはとても満足感を得ることができますよね。
クッキングも、コロナ禍で以前のようには展開できない部分もあるのですが、できる範囲で実施しています。
無理のない範囲で行事も大切に
行事に関しては、日ごろの保育の延長で無理なく行っていますが、運動会とお遊戯会は、園外でやる一番大きい行事です。運動会は今年3年ぶりに近隣の小学校で実施することができました。まだ飲食禁止ということで、お弁当なしで、ミニマムな感じで行ったんですが、子どもも保護者もみんなとても喜んでくれました。
美希保育園のカリキュラムについて
さまざまな体験が、可能性を広げる。
自信をもって卒園できるように。
僕自身が小さい頃から、周囲の大人、特に“先生”と呼ばれる人たちから、とても良い影響を受けてきました。
実は生まれてすぐに親の仕事の関係で、アメリカで幼児期を過ごし、小学校入学と同時に日本に帰国しました。いわゆる帰国子女だったのですが、日本の文化に慣れることができずに困っていた時に学校の先生が、「私があなたの横にも、後ろにも、前にもいるから、あなたは自分の好きなようにすれば大丈夫だよ」と言ってくれたんです。
その言葉が本当にうれしくて、自分に自信をもって生きていくための心の支えになりました。
その後もいろいろな人たちとの出会いに恵まれ、生きる力の土台を築いていくことができました。幼少期からの周囲の人間の関わりの大切さを、身に染みて感じてきたんですね。
いつしか自分も、人を育てる仕事、子どもの育ちにかかわる仕事につきたいと考えるようになっていきました。大学卒業後、幼稚園教諭を5年間、その後保育士として主任・園長まで経験し、当園の開園に際し園長になりました。
子どもにとって環境は、その後の人生の可能性や自己肯定感、好奇心を広げてくれる本当に大切なものです。自分がそうであったように、子どもたちには、できるだけいろいろな経験や選択肢を与えてあげられたらといつも考えています。
例えば保育園の役割の一つに、小学校以降のその後の子どもたちの人生につなげる、ということがあると思います。
昨年度、初めて卒園児を送り出し、千駄ヶ谷小学校とかかわる機会をいただくことができました。小学校に遊びに行くこともできましたが、長時間の学校体験は、残念ながらコロナでできなかったのですが、活動の様子やメッセージの動画を撮っておくってくれたんです。とても有難かったですね。
卒園して小学校に入学する、ということは子どもにとっても保護者にとっても一大イベントです。楽しみと不安と両方あると思いますが、保育園でそんな不安が少しでも減らせたらと思っています。
例えばその取り組みの一つとして、体操や美術、英語など、外部講師を招いての「レッスン」の時間を、カリキュラムに取り入れています。
「お楽しみ英会話」では、お勉強ではなく、子どもたちが楽しみながら英語に触れられる時間にしています。歌やクイズ、ゲームやダンス、制作などが中心で2~5歳児が週1回行っています。また「美術」も、美術の専門講師を招いて、絵画や制作の時間を月1回、3~5歳児が行っています。「体操教室」では、マット運動や体操を通して、体力や運動神経の基礎を培い、成功体験を積み重ねることをねらいとしています。
そして当園の特徴的な活動としては、ダンスがあります。
僕はダンスがすごく苦手で(笑)。というか自分自身が経験したことがないので、小学校以降にダンスの授業があると聞いて、子どもたちにはぜひ体験してもらいたいなと考えました。
そこで、近隣のダンススクールに幼児クラスみんなで通っているんです。職員も一緒に教えてもらってるんですよ。実はちょうど園と同じ時期にできたダンス教室で、地域のふれあいも兼ねて交流が始まったのですが、これがとっても楽しくて。子ども達が早めに少しダンスに慣れていけば、小学校に入ったときに自信になるのではないかと思っています。
そしてダンスに限らず子ども自身がいつか、「もっとこれやりたい、やってみたい」と思ったときに、無理にではなく、子どもの意志を尊重した上での「習い事」をさせてあげることができたらいいのではないかと思います。子どもの「やりたい」をサポートする、それが大人の役割ではないかと考えています。
美希保育園の研修について
職員の“得意”を伸ばす人材育成。
ユニークな園内研修も充実。
開園1~2年目は、お互いを知るということが大事かな、と考え、園内研修というよりも、もっとざっくばらんな形で、それぞれ15分の持ち時間で好きなテーマで発表してもらったりしていました。例えばお祭りとか、色とか、あとは好きなアイドルとか、食べ物とか、ざっくばらんなことを楽しく話す。保育でこんなことをしてみたい、こういうことに活かしていきたい、など、コミュニケーションをとても重視していましたね。
現在では、最低月1回は園内研修をしているんですが、主任がリーダーになって実施してくれています。心がけているのは一方的に話す研修ではなく、参加型の研修です。
例えばプール水遊びを開始するにあたって、救急救命のことを確認しあったり、保育に特化した研修だけじゃなく、外部講師を招いて職員同士を知るための「ドラマケーション研修」を行ったり。レゴを使った「レゴシリアスプレイ」など、他の園とはちょっと違う、実践的で面白い研修をしています。
開園の時から、職員には「得意は2倍頑張って、苦手は出来る範囲で努力しましょう」と言っています。例えばピアノも、いつも得意な先生が弾くのではなく、行事や誕生会の時などに苦手な先生にも「先生頑張れそう?チャレンジしてみる?」と話をして。苦手なことにも無理なくチャレンジできるような環境づくりをしています。
また、開園したばかりのころ、なかなか地域との交流もないというところがあったので、「ホームデー」という形で、今年度から地域交流の活動を実施しています。これは地域の方に向けた子育て支援の活動ですが、卒園児も夏休みなどに園に遊びに来られたらいいなと考えて、様々な内容で企画しています。
「保育園ではこういう遊びをしてますよ。もしよかったら在園児ももちろん、地域の方も遊びに来てください」というメッセージを込めて、リトミックやレゴブロック遊び、運動遊び、絵本の読み聞かせとか、簡単な制作を体験してもらう企画など、職員が順番で担当しています。とはいえ始めようとしたらコロナ禍になってしまい、なかなかできなかったのですが、今年から少しずつ始めています。
また近くの保育園とも、小規模認可保育園2園と連携園という形で交流しています。お遊戯会を見に来てくれたり、ハロウィンで行き来したりと交流しているんですよ。これからも出来る範囲で、地域の子育て支援拠点的な役割を果たせて行かれたらいいな、と考えています。
求職者へのメッセージ、求める人物像
コミュニケーションが何よりも大切。
子どもも大人も、一人ひとりに丁寧に。
職員会議に関しては原則月1回行っています。出来る限り集団は、あんまり大きくならないようにしながら行っています。在宅ワークも少し取り入れたりしているので、在宅ワーク時に職員会議にあたった先生は、LINE電話で繋ぎながら、会議に入ってもらったり、クラス会議に関しては確実に月、何回やりますというよりも、クラス毎に月1回だったり、多いクラスはもっとしていたり。基本的には主任も参加して、必要があれば園長も参加しています。職員の残業はほとんどありません。みんなが働きやすい職場づくりに力を入れています。
採用の際には、「保育のどういう所が好きか」とか、「どういう事をしたいか」ということは聞かせていただいています。その先生が実際に入職されたとき、どういう風な場で活躍してくださるとかそういうのを想像しながら、主任と僕とで面接します。
経験って武器にもなれば、逆にいうと足かせになってしまうところもあったりすると思うんですよ。今までの経験をこの場所でどういう風に生かせるか、が大切だと思います。
自分が大好き、というのは非常に良い事だし、もちろん自分をまず大事にしてほしいんですが、「お仕事中は自分大好きよりも、子どもを大好きでいてほしい」ということを伝えています。
保育の仕事は、子どもに「見られてる」「見せている」「見てもらっている」という部分がある。子どもに「こうしてほしい」と言うことがあれば、保育士自身がまずモデルになる。
「ありがとう」や「ごめんなさい」が言えること。そんな人間として当たり前の姿を伝えてこそが、何より子どもにとって意味あることだと思います。
あとは、保護者の方への対応ですが、いろいろな保護者の方がいらっしゃいますので、まずは、一回受け止める部分を大事にしましょうと職員には伝えています。例えば、お迎えに来た時にスーパーの袋を持っていたら「お母さん、お迎えの前にお買い物に行くのはダメですよ」と言ってた、という職員がいたとします。もちろん行政のルールではそうかもしれないですが、ここの地域、ここの園、目の前の保護者にそれを伝える必要があるのか、ということを相手の立場に立って考えてみる。
言葉づかいやふるまいなども、自分がそれをされた時にどう思うか、子どもがそれをまねするかもしれないとまずは考えて、と伝えています。
何よりも自分自身が親になったときに、子どもをここに預けたいと思える保育園にしましょう、ということですね。
「保育士の自己評価」というのがありますが、自分がダメなところを見つけるためのものではありません。苦手な職員が多いと思うのですが、自分の課題だけでなく自分の良いところ、できているところを知る機会でもあると思うんですね。保育のPDCAって何のため?と考える機会にもなります。面倒くさいな、苦手だな、と思うことにも意味があると思うんです。
職員間でも保護者の方でも、苦手だなという人とも向き合うことで、対応の仕方や折り合いの付け方を学ぶことができます。「なぜ自分はこの人が苦手なのか」と考えた時に、「自分は何を大切にしたいと思っているのか」ということを気づかせてくれることもあります。その人が自分に教えてくれていることがあることを知ることができる。今は無理かもしれないけどいつかわかるときが来るかもしれない。何でも無意味と思ったらそこで終わってしまうけど、無意味を有意味にしていくことができると思うんですね。
子どもから毎日たくさんの大切なことを学ばせてもらっています。あたり前のことを丁寧にやっていく、子どもに対しても大人に対しても、そんなことを大切にしている保育園です。子どもを真ん中に、毎日楽しく一緒に保育ができる、そんな仲間が増えたらうれしいですね。
取材を終えて・・・
人々の笑顔に心もあたたまる。おうちのような保育園。
白くて美しい壁が海外の住宅のような、お城のような雰囲気を感じさせる素敵な外観。扉を開くと、思わず「ただいま」と言いたくなるような、白を基調とした優しい色合いの家具や壁面が。心もほっこりと落ち着くナチュラルな空間が広がっている。屋上園庭もあり、都会の真ん中にあることを忘れさせてくれる。なんといっても町田園長先生のお人柄が、園全体の穏やかな雰囲気を包み込んでいる、そんなことを感じた取材の時間でした。いろいろな工夫や取組みに発見がいっぱいの保育園です。ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
この保育園の施設概要
施設名 | 美希保育園 北参道 |
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勤務地 | 東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目21番5号 |
最寄り駅 | 東京メトロ副都心線 北参道駅 徒歩5分 |